哲学

50歳からの孤独入門 齋藤孝:著 朝日新聞出版刊

【概要】

50歳を過ぎると、

体力の衰えを感じたり、仕事など先行きが見えたり、役割も変化したりする人も多い時。

また、老いと死が見えてくる頃でもある。

人生が限りある時間であるとの認識が、よりはっきりしてくる時期ではないか。

そんな中、いろいろな不安感など、ネガティブな考えも頭をよぎりながら、これからの人生を考える。

本書は、充実した後半人生、生き切るための指南書。

【主題から】

1.ネガティブな感情をどうするか?

ネガティブな感情は生きていく上でつきものだ。

後悔、嫉妬、人間嫌い、恨み、心の傷。

いくつか持ち合わせてきたもの。

いまだこだわり、抜け出せないものもある。

結論から言えば、それらのネガティブな感情はいかに捨て去るかだ。

充実した人生を生きるには、そのことにとらわれる時間はもったいない。

より有効に時間を使うために。

若いころよりずっと理解できるも、捨て去ることは難しいとも感じる。

しかし、それらの感情に、ふと囚われたとき、その時に捨てる覚悟をするしかない。

捨てられないのでは、との心の底にあるあきらめの気持ちごと捨てる。

自分を律する強い気持ちも必要なのだ。

日々を大切に、丁寧に生きる、というイメージを持ちつつ、生活しよう。

2.年を重ねてあらたに気づくこと

2―1芸術作品への関心

50歳を過ぎて、というよりも年を重ねた結果、

陶磁器や絵画を見て、その美しさを感じるようになった。

若いころには理解しようと試みてもできなかったこと。

著者は、美は根源的なエネルギーがあると言う。

美しいものを見て、心を揺さぶられたり、感受性を刺激されるということは、

生きる力を与えてくれるエネルギーなのであろう。

その気持ちに従い、芸術に触れる機会を増やすことは人生の楽しみの一つであり生きる活力になってくるということであると思う。

舞台芸術や自然の美しさもしかり。

2-2哲学は50歳から

哲学がわかるのは50歳からとある。

本書ではハイデガーにふれている。

『人間は死を意識する存在。先取りして準備する。恐怖だが、本来的な生き方ができる。

時間の有限性が人間の本質。死に対してどう向き合うかが、人間らしい生き方の出発点。』と言うような話。

まさに50歳を過ぎての自身に当てはまる思い。

仕事に忙殺されている時期には考えられなかった。

哲学とは、『良く生きるためのものである」と読んだこともあるが、

人生とは?良く生きるとはどういうことか?

そもそも人間はなぜ存在するのか?その意義は?

どんどん出てくる思い。

自身で考えるには、あらためて様々な分野の知識も得たい、歴史も学びたいという気持ちが湧いてくる。

考えることの楽しさを感じ、まだまだ学びたい気持ちになるのだ。

きっかけはどうあれ、学ぶ意欲があれば、素直に従うことが人生を豊かにしてくれそうだ。

3.かけがえのない人との別れ、死の不安と恐怖にどう向き合えばいいか?

身近な人を亡くした著名な方のケースが出てくる。

長年連れ添った伴侶の死や子供の死。

読むと自分の場合は大丈夫だろうか、と不安になる。

実際に経験したときにどうなるのかはわからない。

自分の死はどうか?

身近な人にも自分にも必ず訪れる死。

自分の気持ちをどう解決するか?向き合うか?ヒントも書かれている。

答えは一つではないとも思うが、自分自身で死と言うものに対し、どういう考え、気持ち

でいるのが安心できるのか、考えてみるのが良さそうである。

【結び】

ネガティブな感情とどう付き合うか、どう向き合うかなどは

理解したつもりでも、実践できないという場合もまだまだありそうだ。

それでも人生は過ぎていく。

基本となる心と体がどういう状態にあると良いのか、ということも大事。

脱力、呼吸も大事らしい。

ヒントはたくさん提示されている。

自らを顧みつつ、いろいろ試してみると良いのだろう。

後半生の充実と生き切るために。

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