哲学

「訂正する力」(東浩紀:著)

【全体的なこと】

対立は後を絶たない。それをSNSが促進させている向きもある。考えを変えることも許されない。そんな今の世の中を生きづらいと感じる人も多いのではないか。

そんな今、「訂正する力」が必要だと著者は提言している。

「訂正する力」とは、「批判を受ける力」であり、「読み替える力」であり、「現実を直視する力」であり、本書を読み進めると、その「力」のイメージが明確になり、必要性が理解できる。

【ポイント】

  • 人間の弱さを認識する

人は対立するものだし、なかなか分かり合えないことも多い。また多くの人が賛同しても、クレームを言う輩も必ず出てくる。

またテロも止められない。

不合理なクレーマーは排除されるべきだし、テロなどは許してはいけないのであるが、いつの時代も無くなることはない、というような認識が必要なのだ。人間である限り付きまとう特性なのだと。

  • 変わることを受け入れる

不合理なクレーマーは排除されるべきというが、場合によってはクレームであってもルールの見直しがなされていくこともある。

時代とともに考え方も少しずつ変わり、それに合わせて規定も変えよう、という流れはむしろ自然である。つまり変化していくことにかたくなに抗うのではなく、認めていく、受け入れていくことも大切なのだ。

  • 訂正する力を実践するには 

先に述べたように分かり合えない人と人、異を唱える人が絶えず出てくる社会では、訂正する力の実践は、なかなかハードルが高い。訂正する力は、自らも訂正し続け、相手の訂正も受け入れる姿勢が必要である。意見をよく聞き、自ら訂正し、または相手の訂正も受け入れ、変化していくルールも認めていく。

よく考える人になって、訂正し続けることが大切なのである。

【結び】

冷静に議論すれば、なんとか分かり合えるという考えが幻想だとしても、議論はやめない。批判を受けることにもしっかりと対峙していくことが大事なのである。

相手が変えることも、自分が変わることも、

受入れ、変化することも大事だと思う。

コミュ力を高めたり、強いリーダーシップを発揮するというようなことも考えつつ、未来に希望をもって生きていくために「訂正する力」の理解と実践が大切だと思った。

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